昨年はなにかと「服学ってなんですか?」と訊ねられる機会が多い1年だった。
一応、このサイト説明ページに書いてあるのだが、要点しか書かれていないのでもう少し深く書き残しておこうと思う。

余談だが、ここに書いたことをある方にお話して、「それは“服学”じゃない」といってもらえたことでできた言葉だ。特別な意味もないし、何ならすでに商標も取られているので……モゴモゴ

要は「服を通じて知見を広げること」

尋ねられた時にはいつも口頭で「自分自身が服を通じて、いろんな事を学ぼうと思い、学んだことで楽しく生活できているし、いろいろと言われているこの業界を盛り上げるには知ること、学ぶことが大切なんじゃないかな」と答えている。

それを端的にまとめたのが、サイト説明のページにも書いてあるこの言葉だ。

服を作ることから
「モノづくりの基礎」を学び、「第一次産業、第二次産業の重要性」を知る。

服を売ることから
「消費社会」「経済」「コミュニケーション」を学び、「表現」することが身につける。

服を着ることから
「文化」「歴史」を学び、「多様性」の大切さに気づく。

子どもの頃の話

元来、何にも興味がないという性格ではない(むしろその逆を行く)ので、服をきっかけにしなくとも、こうなっていたのかな?と思う節はあるが、過去を振り返ると“服”をきっかけに興味が湧くことが多かったように思う。

幼稚園のころはオルガン・ピアノを習っていたので、その頃は「ピアノの先生になる」とことあるごとに言っていた。だがその後、小学生の時にマンガで『ウェディングドレスデザイナー』という仕事を知り、そこからデザイナーになりたいと憧れるように。
単にその人物がかっこよかったのもあるだろうが、まず『デザイナー』という言葉自体がカッコいい(笑)。

マンガを読んでいたのもあり、当時からいわゆる“マンガ絵”はよく描いていたが、デザイナーという仕事を知ってからは“デザイン画”というものを意識して描くようなった。ある時、そのマンガでウエディングドレスのデザイン公募があり挑戦したのを記憶している。

勉学においては文系よりも理数系が得意でだったので、国語・社会など、暗記がものを言うような科目は何となくでしか覚えないので、今でもいろんなことがあやふやだ。だが、これも専門学校で服装史を学んだことで『歴史面白いじゃん!』と思えるようになった。
「好きこそものの上手なれ」ということわざがある。
意味は「人は好きなものに対して熱心に努力するから上達が早い」ということがだ、結局はそういうことだ。好きだからこそ探究心が湧く。探求することが学びになる。
テレビ番組「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に登場する子ども達はその最たるものなんじゃないかな?

業界に入り、さらに学ぶ必要性を感じた

何となく服、ファッションに興味があり、着せ替え人形の服を作って遊ぶ程度だった自分が、いざ服飾専門学校で服を作る工程を学んで思ったことは、「服を作るの大変!」だった。特に既製服のありがたみは今でもしみじみ感じている。

社会人1年目は販売の仕事をしていた。販売員からデザイナーになるという甘い考えで、いわゆるインディーズブランドに潜り込んだ。接客を教えてもらうことはあまりなく、高校生の時にマクドナルドでアルバイトした経験と勘だけを頼りに店に立っていた。
この頃はプライベート(バンド関連)が充実していたので、プライベートのお友達が買い物に来てくれることもあり、たった1年だったけど、当時のカルチャーの礎にはなれたのではないかと思う。

転職した企画会社では量販店と仕事をしていたので、要は低価格帯の商品づくりに携わり、いろいろと考えさせられることも多かった。
例えば「これは売れる!」と思った企画でも、バイヤーにそれが伝わらなければ結局はボツだ。そこで説得できるデータや話術があれば商品化もあったかもしれない。なんでそう思うかって、その時ボツになったデザイン案が、その後にトレンドディテールとして注目されているのを見たからだ。あれは今でも非常に悔しい(笑)。

販売を1年で離脱した私が、今では販売員を取材する立場になると、見えないものが見えてくる。また、ファッション販売はビジネス誌でもあるので、いろんな方、役職の方を取材する機会も多い。その度に「もっと勉強しないといけない!」と思い、経済書、ビジネス書、文章術の本、コミュニケーション術の本など、あらゆる書籍を読み勉強してきた……つもりだ。

こう自分のことを振り返ってみると、やはり「好きこそものの上手なれ」しかない。
ということである。

知見が広がると世の中が楽しくなる

人は自分が知らない物事を恐怖に思う。だが、それを知ると恐怖がなくなる。
恐怖がなくなると、少し自信がつく。その学ぶことはその積み重ねで、知見が広がれば広がるほど、世の中に恐怖と思っていたものがなくなるから楽しくなる。

「服なんて、ただの着るものじゃないか?」と思うだろうけど、衣食住というくらい自分たちの生活に密着しているものだからこそ、知る、学ぶことが大事なんじゃないか?

ちなみに今、勉強したいことは
行動社会学や心理学、カウンセリング、コーチングとか…この辺りを勉強して、販売員さんのお役に立てればなと漠然と考えている。

この記事を書いた人

苫米地香織

日本で一番アパレル販売員を取材しているファッションジャーナリスト
販売員として働きだすが1年で挫折し、アパレル企画会社に転職。独立後は衣装制作、グラフィックデザイナー、ライターとして活動し、現在はファッション業界誌を中心に執筆。これまで取材してきたアパレル販売員は2000人を超える。