対面販売のジレンマとこれからのショップの在り方

先週に東京や大阪などを除く、39県の緊急事態宣言が解除された。
今までのようにとはいかないが、解除されたエリアの商業施設が再開され、東京都内の百貨店も食料品フロアだけでなく、衣料品フロアも再開され、お客さまが来店しているようだ。

個人的な思いとしては「良かった」なのだが、その反面、売り場に立つ販売員の気持ちはどうだろうと考える。
恐らくではあるが「嬉しい」と思う反面、「感染したらどうしよう」「感染させたらどうしよう」という、複雑な思いで店頭にいるのではないかと思う。

飲食店では席数を減らし、店内が密な状態にならないように様々な対策が取られている。
フェイスシールドの販売を開始するメーカーも出てきている。

笑ってはいけないが、客がフェイスシールドして飲食を楽しんだり

こんなニュースを「あの時は大変だったね」と笑って話せるように早くなって欲しいと思うばかりだ。

こう見ると飲食店は色んな対策を売りやすいのではと感じる。
では、アパレル店に置き換えたとき、どんな対策が講じれるのだろうか?

対面販売のジレンマ

映画館などではオンラインの座席予約の時点で座れる席が限定されているという。美術館や博物館も同様に入場制限を設けている。
コンビニやスーパーでは、すでに対策されているようにビニールなどで仕切りがされており、百貨店でも、お客さまと対面になるレジや案内カウンターなどはビニールの仕切りがされている。
飲食店も対面席にはアクリルの仕切りを設置したり、政府からの提言の中で「対面で座らないように」とあげられていたことから、対面にならないように席の配置をしなおしている店もある。

それら異業種の状況を踏まえ、対面接客が主なアパレル販売はどうなるだろう?と考えてみた。
よく最初のアプローチは「横から話しかける」というのをよく聞くが、その状態で常にいることも一理あるかもしれない。
どこかのニュースサイトで見かけたのは、スーツの試着で試着室にアクリル板を設け、お直しの時はアクリル板の穴から手を入れて見立てるという感じだそう…。
ここまでくると、もやはコントのようだ。
一番現実的なのはフェイスシールドなんだろうな…と思うのであった。

そんなこんなと考えていると「そもそも接客にの必要性は?」と原点に戻りそうだが、やはりアパレルに限らず、ものを売る行為には誰かが「商品と人の架け橋」になる人の存在は必要不可欠である。
BtoBに営業マンがいるのと同じで、BtoCではその役目を販売員が担っているのだから。

そこで次に考えるのは対面販売の場である「店舗」の存在である。
販売員の存在は必要ではあるが、店舗の存在はどうだろうか?

これからのショップの在り方

いままでの休日の商業施設は多くの人が集まるレジャー施設のようだった。
個人的にはのっぴきならない用事がない限り、休日の新宿や渋谷に出るなんて避けたい気持ちでいっぱいで、商業施設が休業中ということで人が少ない今の新宿・渋谷くらいが丁度いいくらいに正直思っているところもある(苦笑)。

人出が少ないのは助かるが、店が開いていないのはとても困ることがある。
それは、私が実物を見ないと商品を買えない質だからだ。
全くオンラインストアを利用しないわけではないのだが、基本的に買うものは生活必需品くらい。
実は今回の騒動の最中で、実物を見ずに色んなデジタル機器を買っては使えなくて、フリマで売るというのを繰り返していた。これ、店頭で店員さんに確認しながらなら間違えて買うことがなかったのかな…など、何度思ったことか(笑)。
やはり、個人的には電化製品も服もインテリアも本も実物を見ないと買えないというのが分かった。

ここまでで、実店舗も必要であるとなると、これからどんな店が現実的なのだろうか?
国が提言する感染予防策に合わせたら、これまでのレジャー施設のような状況は作らないようにしなくてはならない。

となると、不特定多数の人が来店するような商業施設では人と人の間隔が空くように広いスペースの売り場を設けることが一つの策だと思う。
これに関しては、この騒動がある前から、もう少し店舗スペースを広くしたらいいのではと思っていたので、これを機会にやってみては?と本気で思うところだ。

それに、今までは気軽に声をかけていたが、当面はそれも控えた方が良いのかもしれない。少し前に「声掛け不要バッグ」が話題になったが、この騒動で声掛け不要な人には良い時代なったのかもしれない。

不要に人と接触してはならないとなると、実物を確認するだけのショールーミングストアという形態もありだ。
もしくは来店予約が必要なヘアサロンのような形態も考えられる。

と、ここまで色んなことを考えてきたが、これが実現するかしないかは商業施設次第なのである。

一方、個店や路面店はすぐにでも新しい店、新しい売り方を考え、実践してみてはいかがだろうか?
国の要請としては衣料品は生活必需品と認められ、休業しなくてもいいことにはなっているのだから、多くの人を集め、集団感染させないことを気を付けて営業を始めた方が良いと考えている。
店内を密にしない方法としては、来店予約制にしたり、普段から顔見知りのお客さまだけの来店にするとか、入店制限を設けるなど方法は色々考えられるだろう。

何だかんだ書いてみたものの、最終的には徐々に今までのように戻っていくのだろうと感じている。
その一方で、誰にも等しく変わるチャンスをもらえたとも感じている。
このチャンスを生かせるか、生かせないかは自分次第だ。

この記事を書いた人

べち(苫米地香織)

べち(苫米地香織)

服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター
日本で一番アパレル販売員を取材している人