イノベーションを起こすにも現実が大切

先日、今一番、気になっているメッシュウェルとECエヴァンジェリストの川添さんのお話しが効けるということで、KFCファッションイノベーションセミナーに参加してきました。

セミナーの内容は販売員の人材不足からのメッシュウェルが立ち上げやその内容についてと、川添さんによるECやD2Cなどデジタル周りの現状とデジタルは魔法じゃないという念押し。

とても有意義な時間を過ごさせていただいたので、少しばかりリポートをまとめてみました。

販売職もワークシェアする時代へ

取材や仕事で今の悩みを伺うと、第一声は「人手不足」が上がってきます。
メッシュウェルの窪田さんのお話しで、少子高齢化で働ける人口が減っていくことでまず一番初めに出てくる問題は「労働力不足」で、それが今アパレル業界に限らず、建設、運搬、小売など、色んな業界で起こっているということ。

この話はファッション販売9月号でも働き方改革特集にて出てきたことと同じ。
二本は90年代中頃から「人口オーナス期」に突入し、労働力不足になるのは分かっていたこと。
なのに何も手を打ってこなかった結果、労働力不足に陥っているのです。

そこで窪田さんたちが考えたのは販売職のワークシェアリング。
既に建設業界では「助太刀」、運送業界では「Uber」、保育業界では「キッズライン」といったマッチングサービスが立ち上がっていて、販売職はこのメッシュウェルが初なのでは?

国外に目を向けると、フリーランスの販売員が活躍しているそうで、窪田さんもアメリカで週1で販売員をしている方に出会ったのだそう。
もう一つ、メッシュウェル立ち上げるきっかけになったのは、自分たちにお子さんができたことだそう。

最近の大手アパレルは福利厚生がしっかりしてきているので、子供ができても比較的仕事が続けやすくなっていますが、アパレル業界全体がそうではないのが現状です。
子育てしてみたらそちらを優先したくなり退社する人、働きたくても預けられなくて退社する人、自分だけ時短で働くことでシフトが上手く回らず人間関係が悪くなって…という方もいたり、まだまだ日本で子育てしながら働く土壌ってできてないのかな?と思う話を耳にします。

そういう働きたくてもピンポイントでしか働けない元販売員さんに少しでも活躍できる方法はないかということでメッシュウェルがスタートしたそうです。

サービスがスタートして約1年で、現在は約350名の販売員さんがタレント(メッシュウェルでは販売員さんをそう呼ぶそう)が所属。
その内、元販売員さんでフルタイムで働けない方が6割、ダブルワーカーの方が2割、あとは販売未経験だけど、モデルやスタイリストなどの仕事をしながら販売をはじめた方が2割いらっしゃるとのこと。
主に、都内の中~大型のセレクトショップや百貨店、SC、路面店へ派遣されているけど、先日ニュースになったのは11月にオープンする渋谷パルコでもメッシュウェルのサービスが使えるようになるそう。
更に、需要が高まりそう&こういった働き方もできるのが広がると良いなと思うところ。

また、最近はクリーデンスとテンプスタッフという競合他社と組んで、合同説明会を開催するそうで、これは面白いのでは?と思った次第。
各社が得意とする就労方法などを聞いて、自分に合った働き方を見つけて、販売員として復帰できたらいいのではないかしら?

ご興味ある方は是非
Liven up Fashion
https://livenupfashion.com/

ファッション業界におけるデジタル施策の現状

後半は川添さんによる今のECやD2Cなど、ファッション業界におけるデジタル施策の全体的な流れを伺いました。
ある程度は自分でも情報を集めてきたものの、こうやってまとめてこの流れを語っていただくと、この話は1時間では尽きないなと改めて感じました。

話の中で川添さんが一番強調されていたのは「いくらデジタル施策をやっても企業のベース(人や風土)的ににデジタルやECのことをきちんと理解している人がいないと、やっても無駄」ということ。
この点はとても分かり味が深いです。

特にこの数年で、デザインなどの細かいところを問わなければ、自分でウェブサイト、ECサイトを作れ、拡散されるかされないかは別としてSNSやブログで世界へ発信することでき、中小規模でも様々なデジタル施策が簡単にできるようになりました。
だからこそ、見られるデザインで作る大変さや拡散されるためのテクニックなど、裏での勉強や努力があることを理解せずに取り組みはじめて、「全然効果ないじゃないか」と不満を募らせるオーナーの姿が見えます。

そう、デジタルは魔法の道具ではないんですよ。
デジタルを取り入れたとしても、それを上手く運用する人の力が重要だったりするのです。
今後はそれを広く伝えたいところですね。

もう一つのは最近、話題性が高まっている“D2C”についても興味深かったです。
メンズ・レディスでは売り方や発信方法が違っていて、どれ一つとして同じ方法で動いていないんです。
簡単に言えば「みんな違ってみんな良い」という感じでしょうか。

本当に沢山のブランドがスタートしていて、私も個人的に注目しているブランドさんのインスタをチェックしているのですが、そのブランドも見せ方が上手!
ブランドの魅力を上手く伝えているなと思うのです。
なので、いつも物欲を刺激されて困ります(笑)。

最近は 大手でも「D2Cができないだろうか?」という話が上がっているようで、似たトコロでクラウドファンディングを使って、予約生産的なことをしているところもあります。
でも、 “D2C” がアパレルの主流にならないでしょう。
“D2C” ブランドをやっている方々の動きやインタビューなどを見聞きしていると、自分たちの身の丈にあったやり方で成長していこうと印象を受けます。
大手が望むような成長は考えていないし、できないと思います。
でも、私的にはその身の丈に合った成長、じっくり伸ばしていくやり方の方が健全というか、好きです。
今の時代に合っていると感じています。
流行を狙って太く短くブランドをやるのも面白いですが、細く長く愛されるブランドを作っていって欲しいな。

まとめ

ファッション業界の売る側と作る側のデジタルにまつわる話を伺ったのですが、どちらの話も結局は「リアルが大事」というのを感じました。
どの業界もですが、デジタルは人が考えることに集中できるようにするための手段や道具にに過ぎないんですよね。
ちなみに私の場合は、デジタルは「紙とペン」にしか思っていないです。

この記事を書いた人

苫米地香織

苫米地香織

服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター
日本で一番アパレル販売員を取材している人