ニュースサイトやプレスリリースをチェックししていると、続々と大手SPAから「インスタライブ始めました」とか「YouTubeチャンネル作りました」と届いてくる。
ここ2年くらいで、自社ECやEC化率の話が盛んにされてきて、ようやく本腰を入れて…というところだったが、この世界の大騒動によって急かされたのではなかろうか。
空白の2ヶ月間で「これから本腰いれて…」なんて、のんびり構えている場合じゃないことも分かっただろう。
だが、その一方で2ヶ月で色々初めて見たものの、それも付け焼刃に終わったのでは…。
急に推し進めたところで、ネット関連の販促はすぐに効果は表れないことも理解できたところで、これからのことを考えてみてはいかがだろうか。

収益源を考えよう

この2ヶ月間でECやSNSばかりに気を取られ、すっかり「SNS疲れ」してしまっている人もおられるのでは、私クラスになるとスルー力が働くようになり、全てのツイートに独り言で返せるようになり「疲れる」の壁を越えることができるようになる。
なんて冗談は置いといて…

ECやSNSばかりに気を取られいているようではまだ甘いということだ。
ECやSNSは魔法ではなく、紙やペンと同じ“ツール”。
ゆえにそのツールを使って、どう収益を上げようかということを考えることが先決なのだ。書きたいものによって紙やペンは絵の具やスケッチブックになるように、道具が変わるわけだが、収益をどう上げるかもあげ方によって、使うツールが変わってくる

例えば、実店舗が全く機能しなくなったことで、ECも同じくらいに収益を上げたいというならば、今すぐにでもインターネットの周りの勉強をするか、ネットマーケに詳しい人材を投入するという方法が出てくる
また、確かに実店舗は機能しなくなったけど、ECは補助で最終的には実店舗を大切にしたいと思うならば、ECは無料から始められるネットショップでも作り、SNSで「再開したらまた来てね」という思いも込めて顧客に向けた発信に注力していった方が良いのではないかと思うのだ。
しかも今はSNSからショッピングサイトへも簡単に連携ができるようにもなっているわけだから、ツールを活用して色んなことができる。

ここ数日で店が再開したところも多いだろうから、店舗とECとの収益源のバランスをどうとっていきたいか見直してみてはいかがだろう。
それによって、力を入れていくポイントも分かってくる。

メーカーやフリーランスも考え方は同じ

個店や数店舗展開するセレクトを前提に書いてきたが、この考え方は企業やメーカー、フリーランスでも応用できる考え方だ。

メーカーであれば卸・自社EC・SPAやOEM/ODM始めるか?など、色々考えられるが、その中で自社の得意な方法を3つに絞って収益源を考えてみてはいかがだろう。

これは余談だが、商品のバッティングであの店には卸せない、ECには載せないでなど制約が今まであったが、これを機会に緩めていくことはできないだろうかと思った。大体、そのその商品と消費者の接点を店やメーカー側の都合で制限しているように感じてならない。
希少価値や取引先を大切にしたい気持ちなども分からないでもないが、この大騒動で消費者と服をつなぐ場所が絶たれたわけで、その店でしか買えない商品であれば、その時点で収益が上がらないということになる。まぁ、これは極端な話ではあるが…。
仕入れる商品にしても、その店にそのブランドの全商品が並ぶわけでもないし、最終的には販売員とお客さまとの接客や関係性・信用・信頼で服が買われる。
さらに極端なことを言えばECで買える商品でれば、店は行かないという考え方もある。
圧倒的に消費者のものの買い方が変わり、さらに変わっていくのは間違いない。

一時期、百貨店の古い商習慣が指摘されていたが、結局見直された感じもなかったので、本当にこれを機会に見直して欲しい。

アパレルに限らず

ここまでアパレル業界をベースに話を進めてきたが、音楽業界、飲食業界も同じだと思っている。

当分は客席数を減らして運営していかなくてはならないのは必須であるから、店舗での収益は必然といくらになるが計算が付くだろう。そして、それを補う方法をこれから考えていかなくてはならない。
量で売り上げをとるのではなく、質で売り上げをとる方法。
提供する側も考えていかなくてはならないと思うが、最終的には消費者側も賢くならないといけないなと思う。

その為にも、改めて自店の強みを生かしてどこを収益源にするのか?バランスは?改めて考えてみては。

この記事を書いた人

苫米地香織

日本で一番アパレル販売員を取材しているファッションジャーナリスト
販売員として働きだすが1年で挫折し、アパレル企画会社に転職。独立後は衣装制作、グラフィックデザイナー、ライターとして活動し、現在はファッション業界誌を中心に執筆。これまで取材してきたアパレル販売員は2000人を超える。