この時期になると、来年のトレンド予測的な原稿を書く機会が増えます。
もう年末なのです。
今年もあと40日くらいということに驚愕しています。
これは確実に時間が加速していっているに違いない。
で、トレンドの原稿を書いているといつも「今さらトレンドなんてねぇ…」と考えてしまいます。
私の感覚では00年以降から徐々にビッグトレンドと呼ばれるものは少なくなり、業界的にも「トレンドが予測しにくい」と耳にするようになりました。
人々の志向が“多様化”しているということです。
多様化しているということは、流行に頼らず、自分の好きなものを取り入れて生活するということであり、それが認められてきているということは、人が成熟してきているということの表れだと考えます。
要は「成熟社会ではトレンドが生まれにくい」ということです。
でも、本当に日本人は成熟しているの?と思うことも多々ありますが、どうやら全体的には成熟していると言えそうです。
photo credit: Lucerito Corrales Made in Peru 2016 via photopin (license)
その中で今朝のFashionsnap.comで、こんな記事がアップされました。
「ヒット商品は意地でも出し続ける」売上1兆円目指すGU柚木社長の決意と見据える先
このご時世で「ヒット商品は意地でも出し続ける」とは素晴らしい意気込みです。
インタビューの中でGU柚木社長は「ヒット商品を生み出す秘訣は?」という質問に対し、こう答えています。
我々はまず、キャットウォークをはじめ、ストリートやブロガーなど世界中の最先端な情報を漏れなく集める。もう一つは、消費者目線をハイブリッドして商品開発を行うところが特徴としてあげられる。ガウチョパンツだと、スカートではないがフェミニンでエレガントだから「オフィスでも履ける」けど「パンツだから楽」だとか、お洒落しながら子育てして自転車も漕げる、など色々なオケージョンやシチュエーション、お客様の層を考えている。消費者目線とトレンドを常にハイブリッドして、商品を企画していくことがマスにヒットする商品を生み出す秘訣だと思っている。
やはり売れるものを作っている企業は全方向に情報集めをしているんだなと思いました。さらに上手く消費者の空気感と集めた情報を融合させ、結果ヒットする商品が出せているんですよね。
結局、トレンドって結果なんですよね。
多くの消費者に共感得た結果に「トレンド」とという称号が与えられるという感じ。
世の中の空気感を読みつつ、ブランドの持ち味を加え、共感を得る商品が生み出され、認められるか、られないか、ということ。
作り手側が「これがトレンドだ!」と言っても、共感を得られないと駄目ということ。
その共感が多様化しているのですから、トレンドが生まれにくくなるのです。
ミーハー体質なので(笑)「これが新鮮だよ」「これ面白いからマークしておいた方が良いよ」という話はいくらでもできます。
だけど、絶対売れる的なトレンドは予測できないなと…
今も「私は来ると思うけど、みんなは何て言うかな??」って独り言を言いながら原稿を書いています。
私的にはどんどん成熟化していただき、トレンド予測なんてものをわざわざしなくても「これ面白いぜ!」と言ったら、純粋に楽しんでくれる人達がいる社会になればなと思うのです。
が、不安遺伝子に同調圧力がある日本において、どこまで成熟化できるかな?とも思いますね。