店員に対して難癖付けたり、理不尽なクレームをつけてみたり
いわゆる“モンスタークレーマー”という存在がいる。
数年前にコンビニや量販店などでの土下座騒動が
ネットやテレビで持ちきりになったこともあるが
こういったクレーマーの常套句ともいえるのが「お客様は神様」という言葉だ。
こんな理不尽な客が果たして神様なのか?
と思ってしまうが、そもそも「お客様は神様」という言葉は
どういう意味を持って誕生したのだろう。
本当の意味はこうだった…
「お客様は神様です」という言葉を残した
昭和の大スター、三波春夫。
公式ホームページにはこの言葉について、こう記載してある。
三波春夫にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。
客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズです。三波が言う「お客様」は、商店や飲食店などのお客様のことではないのです。しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」と、いう感じ。店員さんは「お客様は神様です、って言うからって、お客は何をしたって良いっていうんですか?」という具合。
俗に言う“クレーマー”の恰好の言いわけ、言い分になってしまっているようです。元の意味とかけ離れた使われ方ですから私が言う段ではありませんけれど、大体クレーマーたるや、「お客様」と「様」を付けて呼んで貰えるような人たちではないと思います。サービスする側を 見下すような人たちには、様は付かないでしょう。
三波春夫の舞台を観るために客席に座る方々の姿は、『三波の歌を楽しもう、ショウを観てリフレッシュしよう』と、きちんと聴いてくださった「お客様」だったのです。
もし三波春夫の立場に販売員がなるのであれば、
お店はステージで、買い物客はオーディエンスと言ったところだろう。
買い物客は「お洋服でも買って、気分を変えよう」と思って来店し、
販売員と楽しく会話し、気に入った服を見つけてお買い上げしたとすれば、
その買い物客は正に「神様」といってふさわしい。
真意を知って、心にとどめる
理不尽で支離滅裂な要求をする人は神様(=お客様)には値しない。
相手にせず、きっぱりと「当店では対応できません」、ので、お帰りください」と伝えることだ。
時と場合によっては「他のお客様に迷惑ですので帰ってください」と言い切ることも、
他のお客様に対しての誠意になるのではなかろうか。
三波春夫は生前からこの「お客様は神様です」の本当の意味が伝わっていないことに対し、
良く思っていなかったようだ。
取材・インタビューなどではこの件に関しての質問があった時にこう返していたという。
歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な藝をお見せすることはできないのです。
ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。
また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。
だからお客様は絶対者、神様なのです。
もしかすると「お客様は神様です」とは客側が使う言葉ではなく、
サービスを提供する販売員側が心にとどめておくべき言葉であるのかもしれない。