なぜ、販売員を応援するのか

風呂に入りながら25年前のことを思い出した。
丁度、今ごろとあるインディーズブランド(ロリータ系)に入社が決まり
春に開業する商業施設に入るショップに勤務する前に、研修ということで
働き始めた。

販売は下積みだと思っていた頃

とはいえ、当時の私の考え方は「販売員はあくまでも下積み」で
その先にはデザイナーや華やかな職種で大活躍!
などという夢を見ていた。

高校時代からマクドナルドでアルバイトしていたので
接客自体には慣れていたが、いざ店頭に立ってみると勝手が違う。
ましてや接客以外の業務も多く、覚えることもたくさんあった。

そのインディーズブランドは従業員数が両手にも満たない小さなブランド。
それゆえに販売以外の仕事もするし、営業の手伝いの為に休日出勤もした。
そのお蔭もあってメーカーの仕事の流れを知ることはできた。
だが1年ほど働いて、結局は転職することになった。

別の視点から販売員と向き合う

転職先はアパレル企画会社。
そこでは企画、デザイン、マーケティングと何でもやらせてもらい
ファッション販売で記事も書かせてもらうようになった。
その流れで今の仕事に落ち着くのだが、そこで改めて取材を通じて
多くの販売員に出会うことになる。
取材というだけあって、依頼された企業側は自慢の優秀な販売員さんを
ご紹介してくれる。

優秀な販売員との会話は非常に面白い。
接客についても精神論で固めるのではなく、過去の経験や心理学、行動学などに基づき
ロジカルに考えている。
もちろん数字にも強くなくてはこの仕事は勤まらない。
そして何といってもオシャレだ!

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取材すればするほど、販売員時代の自分のダメ人間さを痛感した。
爪の垢を煎じて飲ませたいってこういうことだなと思うのであった。

私は販売を1年やってきた。
といっても、取材で出会った販売員たちがしている接客とは雲泥の差。
今思えば、あれでよく服を売ることができていたなという感じだ。
少数精鋭のインディーズブランドでは教育するスタッフもいないから
教育が行き届いていないっていうのも一理あるかもしれないが
それにして酷い(笑い)。
当時の私は服を売らないと自分のお給料に響くことすら
分かっていなかったのではなかろうか…。

とにかく、ある意味挫折した人間からしたら
「販売員って凄い!」の一言しかなかったのだ。

イマイチからプロフェッショナルへ

当初「販売は下積み」と思っていた私も
今では「販売は創造性が必要なクリエイティブな仕事」であると断言する。
本物の販売員には様々なスキルが必要で、時にはスタイリストになり、
時には営業マンになり、時には広告塔にもなることがある。
本当の販売という仕事は、誰にでもできそうでできない仕事なのだ。

ネットのニュースなどチェックしていていると定期的に目にするのが
「販売員うざい」「販売員いらない」というアンケート調査の記事。
こういっちゃ悪いが、そういう方はプロの販売員に出会ったことがないか、
残念なお買い物経験しかしていないんだろうなぁと思ってしまう。
まぁ確かにお客様にそういう思いをさせてしまうイマイチな販売員も
実際にいるわけだが…。

この手の記事がこの数年多くて、もう「販売員うざい」「販売員いらない」
という言葉は聞き飽きた。
だから販売員を応援し、プロの販売員の凄さを伝える一方で、
イマイチ販売員からプロ販売員へ成長してもらえるようなコンテンツを
作っていきたいと考えている。

この記事を書いた人

苫米地香織

苫米地香織

服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター
日本で一番アパレル販売員を取材している人