キャリアアップ助成金は、非正規雇用者の待遇改善を目的とした助成金です。
これまで、会社経営のコストダウンをはかるには、人件費削減がポイントと考える傾向がありました。社会保障負担や、研修の負担が大きく、即戦力を非正規で雇った方が会社側にとってメリットが感じられる点が多かったからです。
キャリアアップ助成金が導入されたことで、会社側の負担感が減り、試用期間を設けて正社員化を目指せる仕組み作りがサポートされました。
従業員雇用を考える経営者ならぜひ知っておきたい、キャリアアップ助成金~正社員コース〜についてご紹介します。
どんな制度なの?上乗せ措置があるって本当?
厚生労働省のキャリアアップ助成金(正社員コース)では、中小企業が有期契約労働者を正規契約に転換、または直接雇用した場合、57万円「生産性要件が満たされれば72万円」が給付されます。
この制度にはさらに、ひとり親などで12万円、派遣社員からの転換36万円、該当従業員1人当たりに対して加算支給(年度中の上限は15人まで)の可能性があります。
また、勤務地・職務限定正社員制度を新設し、その有期契約労働者等を当該雇用区分に転換又は直接雇用した場合には、事業所当たり12万円の加算となります。
さらに、東京労働局管内に雇用保険適用事業所がある場合には、東京都の正規雇用等転換促進助成金として、上乗せ50万円を受けることができ、中小企業退職金共済制度に加入させた場合には10万円の加算があります。ただし、ひとり親などの加算はなくなります。
紹介した加算要件・東京都の上乗せをあわせた場合、正社員コースにかかわる支給額は最高192万円が見込めます。
3つのポイントを押さえておきましょう
① 3年~5年間を見通したキャリアアップ計画書の作成
② 雇い入れる時に非正規雇用からスタートし、無期や正規雇用に転換
③ 加算や東京都の上乗せの要件に当てはまると増額できる
<お見合い期間を設けられるメリット>
試用期間なしで正社員雇用した場合、求めている人材ではなかった時に解雇するのは容易ではなく、労使トラブルに発展するリスクが高まります。
非正規雇用から正社員に転換される募集方法なら、応募する側が継続雇用を望まない場合に対応しやすくなります。
募集広告を出す場合には、次の2パターンの条件を提示するのがおすすめです。
・正社員、試用期間半年
・契約社員、正社員転換有
半年の使用期間を過ごして、お互いに合わないと判断した場合には、トラブルなく契約を解除できますし、そのままさらに半年以上の雇用を続ける場合には、「有期⇒無期」、あるいは、「有期や無期⇒正規」といった、キャリアアップ助成金の正社員コースに該当できます。
お見合い期間を設けての採用に、助成金の支給が受けられるのですから、ベストな募集方法ではないでしょうか。