最近、開業する理学療法士が増えてきました。私の周りの理学療法士も独立、開業ブームです。しばらく、この傾向は続くと思います。
どうして?! これから、医療財政が良くなる兆しは見えません。
病気にならない、身体作りを国も推奨しています。医療保険を使わず、
人生100年時代を生きていくためには、どう健康を維持していくのかが
大きな課題で、そこに社会も向かっています。
よって・・・・これから先も、ずっと病院などの施設で働いていけるか、わからないのです。
理学療法士の独立開業についてお話する前に、理学療法士や理学療法とは、
どのような仕事を言うのしょうか。
理学療法とは
まず、理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
理学療法士(PT)
身体に障害のある人のリハビリテーションを受け持ち、理学療法を行う専門職。国家試験に合格した者が厚生労働大臣から免許を受ける。
出典 小学館
理学療法士の平均年収について
理学療法士の業界動向を調査してみると、平均年収は約407万円。(厚生労働省 平成28年賃金構造基本統計調査より)
理学療法士の人数
理学療法士は過去最高の合格者数!累計15万人を突破!
毎年1万2000人もの理学療法士が誕生しています。
理学療法士は開業できる?
海外事情
米国では6年間教育と、それを担保とした保障という就労と賃金体系があります。開業権も認められています。すべての評価、診断、治療という流れを自身で行う総合的な知識と責任を求められています。
日本国内では、理学療法士は独立・開業することは出来る?
結論を先に申し上げると、理学療法士には「開業権」はなく、独立・開業して「理学療法」を提供することは出来ません。
理学療法士は「医師の指示の下に、理学療法を行うことを業とする者 」と定義されており、医師の指示なしに理学療法を行なうことは出来ません。
病院や介護施設などで理学療法を行なう際には必ず最初に医師から指示書が出されます。理学療法士はその指示に従って患者や利用者に理学療法を提供します。
このように理学療法士が開業し、「理学療法」を提供することは法律上行なうことが出来ません。
なんとしても、開業したい場合は
理学療法士には開業権はありません。
理学療法士が開業するには理学療法ではない、別の事業として起業を行っています。
①整体院として起業する
整体院とは・・・
「整体」とは、日本では主に手技を用いた民間療法です。カイロプラクティック・オステオパシー・スポンディロセラピーなどのアメリカ発祥の施術や日本古来の手技療法と組み合わせたものを、「整体」や「指圧」と名付けたのが始まりのようです。
「整体師」や「整体」に法的な規制は無いため誰でも整体師として開業ができます。
同様に、もみほぐし、足ツボ、アロマやオイルによるリラクゼーションサロンなど、一般的にマッサージ店と言われているような店舗も開業することが出来ます。
②セミナーなどを行なう
人前に立って、話をすることが好きな方は、セミナーを主催し、参加者から受講料をもらうことで収益を上げるビジネスがあります。
理学療法士には勉強熱心な人が多く、各地で多くのセミナーが開催されています。自分自身が講師としてセミナーを行う、もしくは外部から講師を招いて開催することも出来ます。
集客という点が問題にはなりますが、広告やSNSを使って集客されている方をたくさん見受けます。
③デイサービス(通所介護)を運営する
利用者に事務所まで通ってもらい介護サービスを提供するのが、デイサービス(通所介護)です。
デイサービスは介護保険サービスの一つで、自宅で生活している高齢者が施設(事務所)に通い、食事や入浴、レクリエーション、機能訓練などを受ける通所サービスです。
経営者が理学療法士の資格を持っていることがアピールポイントになります。
デイサービスで行なうのはあくまでも機能訓練ですが、理学療法士としての豊富な知識や経験を活かして効果的なトレーニングプログラムを提供し、利用者のレベルに合わせた安全なトレーニングが提案できます。
④パーソナルトレーナーとして開業する
パーソナルトレーナーとは「1対1のマンツーマンでトレーニングを指導する職業」を言うのが一般的です。
肥満大国アメリカにおいてはパーソナルトレーナーという職業はかなりメジャーであり、多様なキャリアの道が用意されています。
メタボリックシンドロームや生活習慣病などが問題視される日本においても、身体トレーニングや食事方法を指導するパーソナルトレーナーの必要性が高まっていることは言うまでもありません。
日本人の健康意識やボディーメイキングに対する意識はとても高く、マンツーマンによるトレーニング指導の需要は増えています。短期間にダイエットや体質改善を行なう個別トレーニング指導で開業することも検討できます。
理学療法士は独立開業をすべき?
開業権がない理学療法士は独立・開業に適している資格とは言えません。
将来を見据え、理学療法士として実力をつけ、経験を積んだ後で、「開業して成功したい」という強い気持ちがあれば、挑戦してみればよいと思います。
理学療法士を志す人の多くは、患者を治療して元気にしてあげたい、社会の役に立つ仕事がしたいという気持ちが特に強い人です。
開業するということは、経営者になるということです。いままで以上に多くの業務をこなす
必要があり、支払いや従業員、お客に対して様々な責任が生じます。
病院勤務しているときのように、患者さんだけをみて、治療に全力を注ぐような仕事はなかなか出来ません。
自分は理学療法士としてどのような仕事がしたいのか、開業した場合に経営者としてやっていけるのか、自分の適正をしっかりと見極めて開業・独立を検討するようにしましょう。