企業内でのキャリアアップ促進を目的としているのがキャリアアップ助成金です。
非正規雇用労働者(有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者)の企業内での、正社員化、人材育成、処遇改善の取り組みを助成対象としています。
助成金申請で重要なのが、就業規則です。
労働時間、賃金、退職関係など、処遇条件について、どのようなルールのもとで改善を行っているかを伝える材料として、就業規則または労働協約を提出することが必須となっています。
この中で、転換・直接雇用についてのルールが策定されていることが必要です。
今回は就業規則を制定する際の基本の項目や労働基準監督署への就業規則の必要性をご紹介いたします。
<就業規則とは?>
就業規則は、「会社の法律」に例えられます。例えば…
・朝9:00までに出勤、退勤18:00
・○○のときには休暇を取得する
・☓☓の事由があった場合解雇できる
・退職の申し出は2週間前までに行う
従業員に守って欲しい規則を、『就業規則』としてまとめ、共通理解しておくとスムーズに仕事ができます。
労働基準法に沿ったルール作り
労働基準法に沿ったルール作りができていることで、従業員との“契約”として法的な根拠となります。
・従業員を解雇したい
・従業員の給与を減らしたい
・病気の従業員を休職させたい
事業主が一方的に行えば、社会的に問題となりますが、就業規則に労働基準法に沿って定められていれば、ルールに則って進めることが可能です。
<就業規則の必要性>
労働基準監督署の調査が入る場合にも、就業規則の確認が必ず行われます。
労働基準監督法では、社員10名以上の事業所では所轄の労働基準監督署に、就業規則を届け出ることが定められています。
社員10名未満の場合は、届出は義務付けられていませんが、準じた規則を文書化し、事業所内で共有していれば、その場しのぎの対応がなくなり労使とも安心できます。
訴訟から身を守るにも就業規則の策定が大事
最近は、以前辞めた従業員が突然労使交渉の専門家を引き連れて訪れ、未払い残業代を請求されるケースが増えています。
就業規則を策定していなかった企業の殆どが「敗訴的和解」に持ち込まれ、数百万円の支払いを行う場合がほとんどです。
就業規則を策定して、ルールに従って日常の業務を管理していれば、こうした訴訟から身を守ることができます。
<助成金申請と就業規則>
就業規則があると、従業員を雇い入れるときには、「労働条件通知書」や「雇用契約書」を交わします。
この時『就業規則』があれば、「当社規定による」という一文を入れることができ、「労働条件通知書」や「雇用契約書」に細かいルールをすべて記載しなくても済みます。
万が一、労使間のトラブルが起こった場合にも、労働基準監督署から、公正な判断を受けることができます。
『就業規則』は、助成金申請にも必ず必要になりますし、事業所の規模に関わらず、しっかりと策定しておくべきでしょう。