親になって子育ての際に子供をしつけるということは、悩むことも多いのではないでしょうか?
よくこんなことを言われるお母さんがいます、
子供が言うことを聞かないので、本当に困ってしまいます。聞こえないふりが多く、何度言ってもダメなときは大声で言うと嫌々返事が返ってくるのがやっとです。私の言い方がいけないのかどうすればいいのかわかりません。
脳には自己防衛本能があります。特に小さいうちは、いつも怒られたり叱られたりしていると、ストレスから脳が逃避を始めてしまいます。相手の話を受け流す事で自分を守ろうとしているんです。
これが日常的になってくると、人の話を聞き流すという脳にくせがついてしまい、物事が長続きしなかったり、すぐに困ったら逃げ出してしまうような脳になってしまいます。
子供が話を聞けるようになるには、褒める事が大切です。
私のクライアントの幼稚園の園長先生が
「叱ってばかりいると子供は聞く耳を持たなくなるから、ほめてから叱ると子供は素直に話を聞き入れてくれやすいんです。だから8割ほめて2割叱る ことをこころがけています。」とおっしゃっていましたが確かにそうだと思いますね。
脳の発育の観点から見れば、子どもはできる限り褒めて育てるべきといえます。
子どもの「興味があること」を見つけたら、できるだけ上手に褒めて「好き」へと導いてあげてください。脳が大きく育つチャンスです。
では、ほめるときのポイントはなんでしょう。
子供を上手にほめる5つのポイント
1.結果よりも努力してがんばったことを褒める
努力を褒められた子供は、結果を恐れずにやってみようと思えるようになるのです。
結果よりも努力することで認めてもらえるという認識を持つようになるからです。結果を出したときだけしかほめられない子供は、結果だけにしか価値を見いだせなくなってしまいます。
子供は親の期待に答えたいので、親が結果を求めるのならそれに必死に答えようとしますが、そのうちに自分自身のことよりも結果しかみていないように感じて、自分の存在がわからなくなって、精神状態が不安定になる可能性が高いです。
努力してがんばることで親から認められ、ほめられることで様々な成功体験が広がり、それが嬉しくて、また努力をする、という良いスパイラルが生まれるのです。
2.ほめるときは具体的に
ただ漠然と頑張ったねとか偉かったね。ではなく、〇〇を頑張ったね。〇〇をして偉かったね。と言ってあげることで何故ほめられているか子供は認識します。
具体的に努力したことを褒められた子供は、ヤル気が高まり、努力を惜しまず、困難に直面しても人と比べるのではなく、たとえ結果が悪くても努力を続けられるようになるのです。
3.できて当たり前と思うことでも褒める
子どもを叱るときは、本当に小さなことで叱ってしまいがちになるのに、
ほめるときは、当たり前に思うことはなかなか言葉に出してほめてあげていないのではないですか?
ときには、子どもが普段していて「当たり前のこと」も取り上げてほめてあげましょう。
「いつも食べるとき、いただきますが言えてえらいね。」とか 「朝、元気にご挨拶できてえらいね。」など、とにかく親に認めてもらえて初めて自信が積み重なっていきますから。
4.すかさずほめる
お片付けしてくれたそのときに「お手伝いしてくれて、ママ、うれしいな、ありがとう」とすかさずほめると、その子の自発的な行動を強化する役割を果たします。すかさずほめることでなにをほめられたのかがすぐに認識出来るのです。脳が喜んで発育しますので、くりかえし、すぐにほめてあげましょう。
5.心から褒める
ちゃんとほめてくれているのか、適当な気持ちなのか、子供はわかってしまいます。言葉のトーン、眼を見ているか、表情など子供はちゃんとみているんです。いくらほめられても片手間で、いい加減な言い方や表情が伴っていないと脳がほめられているとは受けとらないのです。
そういうほめ方をいつも親がしていると、子供はほめられることを疑ってしまい、素直に嬉しい気持ちが育ちません。心を込めて笑顔でほめてあげてください。
ほめ方もポイントがありましたが、しつけという観点で見ると同時に叱り方も大事なんですよね。ほめるだけでまったく叱らないのはよくありませんが、しつけの意味を理解できずに叱れない親が増えているともいわれています。
怒ると叱るでは全然意味が違います。怒るというのは親がイライラすることで感情をぶつけているだけですので、しつけとはいわないんです。子どもの自立を促すサポート役として、子どものしつけのために叱るのだということを意識しましょう。
では叱るときに大事なポイントとはいったいなんなんでしょうか?
叱る上で大事な5つのポイント
1.感情的に怒ってはならない
怒るのは感情ですが、叱るのはしつけになります。怒りの感情をぶつけてしまうと、子どもは自分は親から嫌われている、憎まれている、愛されていないと思い込んでしまうでしょう。小さな子供にとって、親がすべてですので、親に愛されている、受け入れられている感覚を持てないと自信が持てなくなり精神的に不安定になりやすくなってしまいます。
2.大声で怒ってはならない
大声で怒るだけではただただ恐怖で子どもは萎縮してしまい、話の中身なんてまったく理解できなくなり、何がいけなかったかより、親の顔色を気にして自分を出せなくなってしまいます。恐怖心をあおることで言うことをきかせるやりかたは、成長期の子供の脳にとって、マイナスでしかありません。
3.時間がたってから叱らない
この前あんなことをしたらだめだよ、と時間が経ってから叱っても、あまり効果はありません。叱るときはすぐその場で叱らないと、ごめんなさいという気持ちにはならないんです。
子どもを叱っているとき、それに伴った過去の過ちもおもいだしてしまい、つい昔のことまでもちだして叱ってしまう親は多いようですが、過去のことを言われても、子どもは嫌な思いをするだけで誰のためにもなりません。
4.子供の言い分を聞いて叱っている理由を言う
子供は、子供なりにいろいろ考えて言動をしています。親から見て表面的な部分で叱ってしまっている可能性もありますよね。例えば兄弟喧嘩で、喧嘩の理由も聞かずに、上の子どもを叱ってしまう親も多いのではないかと思います。子どもの話を聞かずに、頭ごなしに叱るのではなく、まずは子供の話を聞いてあげることが大切です。その上で、言動が正しくなければ、
具体的になにがどういけなかったのか、どうすればよいのかを、子どもにわかるような言葉で説明することが大事で、これこそがしつけではないでしょうか。
5.他の人の前で叱らない
みんなが見ている前で子どもを叱るのもよくないと思います。子どもにも自尊心があります。みんなの前で叱られた時のショックや恥ずかしさ、晒し者になったという思いは子供の自尊心を傷つけてしまいます。なによりもそれを一番頼りたい親にされることが、子供にとって自分自身をも受け入れることが出来なくなる可能性も否定出来ません。
ほめるよりも叱るよりも大事なこと
応援すること
子供のしつけについて、ほめること、叱ることについてお話ししましたが、実はもう一つ最も重要な効果的な方法があるんです。
特に、才能を伸ばすことにとって大事なことです。
えっ、才能を伸ばすには、ほめることでしょ。ほめて伸ばすんじゃないの!?と思うかもしれませんが、それよりももっと効果的なことがあるのです。
ほめて伸ばすはとてもいいことなのですが、少し大きくなってきたらほめるよりも、叱らない、ほめない、けど応援することなんです。
子供さんが何かに夢中になっていたら、それを邪魔せずに見届けて応援することが最も才能を伸ばすということがわかってきたのです。
才能を伸ばすポイントは、そのことについてほめない、叱らないです。ただ応援するんです。
是非、参考にしてもらいたいと思います。
しかし、いろいろお話ししてきましたが、子供は親にしてもらったことを3歳以前のことは覚えていないんです。統計によると、3歳頃の記憶がもっとも古く、これは年齢や国籍に関係なく、人は、3歳以前の記憶は覚えていないのです。
大人だけでなく、幼稚園児や小学生に聞いても、おおむね3歳という年齢を境に、それより前の記憶はありません。
たまに、「1歳や2歳時の記憶を鮮明に覚えている」という人がいますが、そのほとんどは後から追加された記憶です。後になって自分の幼児期の写真やビデオを見せられたり、「あの時はこうだったのよ」などと教えられたことで、あたかも自分の記憶のように錯覚してしまうのです。
では、なぜ3歳以前の記憶がないのでしょうか?
ヒトは誰しも赤ちゃんだったころのことを覚えていないのは、幼児期健忘によるためです。
幼児期健忘とは、3歳以前のことを思い出せないことをいいます。
海馬が完成していない乳幼児には、海馬を必要とする記憶がうまくできないのです。
脳の記憶や空間学習能力に関わる「海馬」は、おおよそ2歳から3歳くらいでほぼ完全なかたちになると考えられています。
記憶の貯蔵に必要とされた神経ネットワークが、後に発達したものに飲み込まれて、3歳以前の記憶を思い出せないというわけです。
3歳以降になって、ようやくエピソード記憶というものが形成されてきます。
エピソード記憶とは、時間や場所、そのときの感情の記憶のことなのですが、3歳頃まではこれがうまく働いていないので、後になっても思い出すことができないのです。
では、覚えていないのなら、3歳以前の経験は重要ではないのか?
3歳までの記憶がないのなら、3歳までは何をしても関係ない、何を話しても無駄と思うかも知れませんが、そうではないんです。
人間の脳は、3歳頃までに8割が完成すると言われています。この時期の記憶は忘れてしまっても、心に感じたことは脳の土台部分に積み上げられていくのです。「うれしい」「楽しい」と言う感情が、「楽しい」「うれしい」と感じる脳細胞を発達させるし、「怖い」「寂しい」と言う感情が、「怖い」「寂しい」と感じる脳細胞を発達させてしまうのです。
3歳までの記憶は脳の一番古い部分の大脳基底核というところに保管されます。
大脳基底核とは脳の根幹をなすところで、だいたい3歳頃までに出来上がるといわれています。
マズロー博士の人間の欲求の中で、生理的欲求、つまり生きていくために最低限必要な欲求が
満たされて、幸福感が多く感じられると、脳細胞はすくすく成長発達をしてくれるんです。
要するに、3歳頃までに親やまわりの人たちの愛情に囲まれて育つことが、いかに重要かということです。ですので、3歳以前の記憶はなくても脳をいい方向に刺激してあげることが大事なのです。
そういう意味で言うと、親が行う読み聞かせはとても子供の脳の成長には最高にいいと思います。
本を読むことによる子供の脳への影響
1、心の脳が喜ぶ!?
親が本を読んであげると「心の脳」が活発に活動していることが最近の研究でわかってきました。
「心の脳」とは、喜怒哀楽を感じたり、うれしい、楽しい、苦しい、寂しい、こわいことの意味を理解する脳の奥にある辺縁系のことをその役割から言っています。
人間の成長から見れば、
まずは心の脳がしっかり育つことが大切ですね。
自分で音読できるようになると、
人間としての脳のもっとも大切な前頭連合野が育っていきますが、やはりそれまでは心の脳を育てることが重要なのです。
赤ちゃんが泣いたり、笑ったり、しゃべれないうちから感情表現しているんです。
お腹がすいた時や眠いときなどでも赤ちゃんは泣いたりしますけど、親はその度にどうしたの?大丈夫?おなかがすたかな?眠いのかな?なんてかたりかけていますよね。
絵本などの読み聞かせも、そういった語りかけの一つなんです。
ベビーマッサージなどカラダのふれ合いも、読み聞かせなどの心のふれ合いも結局は同じなんです。どちらも大事ですね。
優しい声で語りかけてあげてください。
親の優しい気持ちが伝われば、
赤ちゃんはそれを全身で受け入れます。
そして、「パパ、ママ、大好き」
という気持ちと同時に自身とか自己重要感が育っていくんです。
2、 感受性を育てる
絵や色のきれいな本を、ママの優しい声で語りかけられる読み聞かせの時間は、
赤ちゃんにとって最高の幸福感に満たされます。
お母さんの優しい声って、赤ちゃんにとって魔法の声なんです。心を穏やかにしてくれ、安心に包まれ、最高に楽しい気分になり、豊かな想像力が養われていきます。
絵本には、大人が読んでもいやされたり
感動できる秀作が多くあります。
色も重要で明るい色やカラフルな色は神経を刺激し、豊な感受性を高めてくれます。
いいものを一緒に楽しんじゃいましょう。
3、 そもそもの脳の育ち方がすごくなる
ブックスタートって知ってますか?
1992年にイギリスから始まった運動で、 ブックスタートと銘打って赤ちゃんに絵本を配る運動が展開されるようになったのです。
赤ちゃんのうちから本に親しむことで
言語能力や思考力、対人的知能などに優れた子になるということがわかったからです。
言葉の意味がわからなくても、感情を伝える絵や読み手の声の抑揚によってどんどんストックされていき、つながっていくんです。言葉の基礎をつくり、豊かなボキャブラリーを生むんです。
その後、日本でもスタートし、600以上の市町村で
「ブックスタート」が始まっているようです。
素晴らしいものなので、ぜひともたくさんの本を読んであげてください。
幼いときに聞いた言葉が、言語の基礎になるんです。是非、いい絵本を優しい言葉で読んであげてください。