助成金は営業外収益ですから、経常損益の「雑収入」として処理されることが一般的です。
また、企業会計の原則は「総額主義」の考えかたに基づいていますから、会社の実態をわかりやすく記帳しなければなりません。
人件費の補填として、差額のみ記帳したのでは実態が不明瞭になってしまい、適切ではありません。
<助成金の勘定科目と仕訳>
○ 助成金の申請をし、決定通知書が届いたら未収入金・雑収入として記帳する
○ 振込があった日に、普通預金に移す
※決定通知書が届いたところで、入金が確実ということで未収金の扱いにします。
記帳の例
『助成金100万円が○月○日に決定し、その後△月△日に振り込まれた場合』
○月○日
未収金 100万円 / 雑収入 100万円
△月△日
普通預金 100万円 / 未収金 100万円
雇用関係の助成金、給付金は、税法上は不課税売上となり、消費税はかかりません。
<固定資産などの圧縮記帳>
固定資産購入のための費用を助成金でまかなおうとした場合、一般的な会計処理と同じやり方では、税額分が差し引かれ、予定していた事業が完了できないケースが出てきます。
固定資産購入時の例
当初購入予定だった固定資産を100とし、50を助成金、50を自己資金で購入予定だったとします。
もし、入金と同時に課税されたのでは、予算が不足してしまいます。
法人税40%が課せられた場合では、50のうち20が差し引かれ、予算が80になってしまいます。
助成金は国庫から交付
助成金は、国の政策を進めるために国庫から交付しているものですから、こうした事態を避けるため、納税の繰延効果のある「圧縮記帳」という方法を認め、事業がスムーズに進められるようになっています。
本来、補助金が流入したときには、受贈益が発生しますが、圧縮損を計上して、課税関係が生じないようにするものです。
税金の繰延効果によって、助成金流入時点の税額負担を緩和できる特例です。
<助成金処理に慣れた税理士に相談>
複雑な会計処理は自分で行うのは難しい
助成金を受けるときには、普段の会計業務と、税制上のお金の動きにズレが生じることがあります。
未収金の扱いが大きくなりますし、圧縮記帳等の特例を行うとなれば、事業者が会計業務を自分で行うのは難しくなります。
助成金を受ける場合には、お金の動きや、経理処理が複雑になりますから、専門家の手を借りる必要ができてきます。
しかし、圧縮記帳など特別なルールに気づかない税理士も少なくないため、助成金の会計業務に慣れた税理士に依頼するのが確実です。