生きている間に心の安らぎを得られるか
ブッダの言葉より、「心の安らぎ」
人間はいつまでたっても理解しようとしていないのですが、幸せの本当の意味は、心の安らぎです。心の安らぎとは何かといえば、心に悩み苦しみがなく、嫉妬、怒り、苦しみで心が病んでいない状態です。モノがあろうとなかろうと、心が病んでいれば、そこに幸せはありません。モノがなくても、心が病んでいなければ、幸せになることはできます。参考文献『心がスーッとなるブッダの言葉』
現代社会に生きる人々は、様々なストレス(圧迫状態)の中で生活しています。
いつも生活に追われ心にゆとりが持てない、家庭や職場での人間関係のストレスがある、失敗が続いて落ち込んでいるなど、日頃から私たちが抱える悩みは多種多様です。
また、インターネットを通じてありとあらゆる情報を受け取り続ける状況の中で、平常心を保つことは容易ではありません。
1.現代人は「反応し続ける」ことで心が疲れやすくなっている
世の中には「反応せざるを得ない状況」が溢れています。仕事では、利益を上げるために瞬時の判断、スピード感が求められます。また、余暇の時間も、スマホやパソコンなどの情報で埋め尽くされ、ネット広告やリツイートやフェイスブックのシェアなど、大量の反応を次から次へと強いられる時代です。とめどなくやってくる刺激に反応し続けることになり、心が疲れやすくなっています。特に適当にスマートフォンを見続けた結果、知らないうちに長時間経過していて、休んでいるようで休んでいない状況が多発するのは、現代人特有の問題なのでしょう。昔は刺激が少ない分、反応も少なくて済みましたが、今は刺激の絶対量が違います。この状況に流されて反応するままに生きていると、よからぬ妄想や怒りに駆られて、心の疲労やストレスはますます溜まる一方となります。
2. ストレスのもと「雑念」の正体
現代人にとって無駄な刺激とは、一言でいうと「心にとって不快な刺激」です。怒りや不安や、過剰な欲望を刺激する映像や情報はもちろんですが、「同時に複数のこと」を行う生活習慣も、実は不快な刺激とされています。
人間の心は元来、「ひとつの反応をしている」状態が、もっとも楽で自然な状態なのだそうです。歩きスマホのように、歩きながら電子情報反応する行為は、それだけで「心が半分ずつに分断」されている状況で、本当は「快」ではありません。
つまり、「ながら作業」や「同時に複数の反応」というのは、心にとって、ストレス・雑念の素なのです。そうした状態を改善して、心をすっきりした状態に保つには、「一点集中」が大事になります。一つのものごとだけに心を注ぐことです。
3.「反応しない練習」
「何となく不安」「何となくこのままでいいんだろうかと思ってしまう」など、自分の心の状態がよくわからないことってありますよね。
心の状態の理解の仕方は、大きく分けて2つあります。まず1つは、今の心の反応が「感覚」なのか「感情」なのか「思考」なのか。もう1つが「欲」なのか「怒り」なのか「妄想」なのかを見る方法です。
そして自分の心をよく理解しながら、「マインドフルネス」と言われている「感覚に戻る練習」をするようにします。
心を整理する3ステップ
① 感覚・感情・思考のいずれかに分ける
無駄な感情や思考に流されないように気をつける
② 欲・怒り・妄想のいずれかに分ける
これらの反応に「気づく」ことが悩みを増やさないコツである
③ 肉体の感覚に意識を向ける
呼吸中の腹部の感覚や足裏の感覚を感じ取る
これらは「自分を見つめる」心がけともいえます。
「反応しない練習」心得
① 一点集中を心がける
多くの事をこなさなくてはいけない場合、あれもこれも手を出さず、ひとつひとつの工程に一点集中して精度を上げて、それらを積み重ねていく
② 記憶という名の妄想に反応しない
「過去は記憶に過ぎない、つまり妄想」と心がけて、苦しい嫌な思いをさせられた人や状況を許し、過去を引きずらず、現在と過去を繋げない
③ 苦手な人と接する際は「自分の心を見る→ではどうすればいいか考える」
相手と向き合った時の自分の心の状態を理解したうえで、動揺しないで「必要な判断」だけをする
④ 肉体の感覚に意識を向ける
心を不快にする妄想に囚われたときは、心を「感覚にシフト」する。「体の感覚に意識を集中する」ことで、感情や思考をリセットしストレスを緩和する
心の状態を日々観察する習慣をつけて、自己理解の経験値を積み重ねていくと、無駄な反応に囚われなくなり、気持ちの切り替えも早くなります。対人関係も、感情に振り回されず冷静に対応することができるようになります。心の無駄な反応を止めることで、悩みや苦しみから抜け出すことが可能となります。
4.心の安らぎを得るためには
物事を批判的にとらえる姿勢、許せないものに対する執着、攻める気持ち、過去と未来に関わる悩み等を手放し、苦しみから解放されることは果たして可能なのでしょうか。実は、葛藤や心の痛みを生み出しているのは、外的な状況ではなく、その出来事に対する自身の意識や感情、生きる姿勢なのです。
しかし、私たちの意識は、過去を再現し将来に備えることを習性としているため、様々なかたちの苦しみを生み出します。「大切なのは今」苦しい過去の記憶、不安な将来の展望に執着する姿勢を手放して、今この時、この瞬間を意識して生きることです。
また、ストレスが溜まった時に上手に発散して、常に心身を労わることも大切です。1日の中で静かに落ち着ける時間を見つけて、自分自身に時間を費やす。あなたに喜びを与えてくれるもの、気分を良くしてくれるものを大切にして、感動できる自分を取り戻す。また、自然の緑は気を整える効果があり、自然の中で深呼吸しゆったり過ごすこともおすすめです。
安らぎや幸せを感じ。幸せな心を作るツールとして、瞑想と祈りがあります。
「瞑想」は心のヨガとも呼ばれ、静かに座って行う数分の深呼吸を習慣化することで、自分の身の回りで起きることや、人々の「あるがまま」を受け入れられるようになり、自身もあるがままの自然体でいられるようになると言われています。
また、日常的に「祈り」を取り入れることで、今この瞬間を共に生きる人たちとのご縁への感謝の気持ちが、自然と湧き上がるようになります。そうすると、今度は周りの頑張っている人たちに対して気持ちを込めて祈るようになります。
人に対する慈しみや思いやりを持って、「誰かのために」祈り、感謝し、人との縁を結んで一体感を体験することが、愛と安らぎに満ちた心の自然な状態をもたらし、心の安らぎを得ることにつながるのです。
5.まとめ
自分に気づき「自分の輪郭」をはっきりさせて、自身の動ける範囲で幸福・納得を得ることを私たちは忘れてはなりません。
まずは1日の時間の中で楽しさや充実感を大切にして、不快をため込まない工夫をする。1日1日を快く生きていくことに集中する。
心の安らぎは、幸せな生活の基盤になります。安らいだ心の状態で生活していく中で、時々幸せを感じられる静かで穏やかな心、このような心の状態だと、心の余裕が生まれ、より幸せを感じやすく暮らせることでしょう。